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新設「特別の寄与」制度について

2019.03.10

現在の民法(現行法)にも、被相続人の介護や看病などに尽くした相続人に対しては、その貢献により被相続人の遺産が増加または維持されてきたことが認められる場合、遺産分割に際して、相続分を増やす「寄与分」の制度が存在します。
しかし、現行法では、寄与分はあくまで“相続人”にしか認められていません。



つまり、相続人ではない親族(例えば子の配偶者)が被相続人の介護や看病に尽くしても、相続財産を取得することはできませんでした。

今回の改正では、このような不公平を解消するために、無償で被相続人の介護や看病に貢献し、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたと認められる親族(特別寄与者)
は、相続の開始後、相続人に対して特別寄与料を請求できることとする「特別の寄与」の制度が新たに設けられました。

 特別寄与者となり得る親族は、相続人を除く6親等内の血族と3親等内の姻族であり、前述の子の配偶者はこの中に含まれることになります。

 なお、遺産分割協議については、現行法どおり相続人だけで行うこととされており、相続人ではない特別寄与者は遺産分割協議に参加できません。
特別寄与者には、あくまで相続人に対する特別寄与料の請求権のみが認められています。

特別寄与料の金額は、請求者と相続人との協議にて決定されますが、もし協議が整わないとき、または協議ができないときは、相続が開始したこと及び相続人を知った時から6ヶ月または相続開始の時から1年以内に限り、家庭裁判所に審判の申し立てを行うことができます。

今回の「特別の寄与」の制度の新設により、被相続人に尽くした方に公平に財産を譲れるようになり、相続人以外の親族の苦労が報われることが期待されますが、その一方で、特別寄与分の請求によって相続人が受け取る相続財産が減少するため、親族および相続人間でトラブルが起きることも予想されますので、日頃から介護をされている方との話し合いや、ご本人による遺言書の作成などが重要になると思われます。


 

筆者紹介

酒井 謙次
酒井司法書士事務所 所長

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